- 機能性ディスペプシアについて
- 機能性ディスペプシアの症状（みぞおち付近で起こる不快症状）
- 機能性ディスペプシアの原因
- 機能性ディスペプシアの検査・診断
- 機能性ディスペプシアの治療
- 機能性ディスペプシアの治療は当院へご相談ください
機能性ディスペプシアについて
機能性ディスペプシア(FD：FunctionalDyspepsia）は、胃痛や胃もたれなどの症状が生じる疾患で、機能性胃腸障害と言われることもあります。
特徴として検査を受けても、潰瘍・炎症・がんなどの器質的異常（病変）が見つからないことが挙げられます。そのため、器質的異常ではなく機能的な異常によって症状が生じているとされています。
従来は原因が分からない「自律神経失調症」と言われて一緒にされていたもののほとんどが、この疾患だと考えられています。
機能性ディスペプシアの症状（みぞおち付近で起こる不快症状）
機能性ディスペプシアの原因
胃の蠕動運動障害
口から摂取した食べ物は、消化管の蠕動運動によって次の場所に運ばれます。消化管の1つである胃の蠕動運動が低下すると、食べ物の流れが滞り、様々な症状が現れます。胃上部の機能が低下すると、吐き気や早期膨満感などの症状が起こり、胃下部の機能が低下すると、食後の胃もたれなどの症状が現れます。
胃の機能が弱まっている方は、その先の十二指腸の機能も弱まっていることがほとんどです。そのため、十二指腸で分泌されて小腸に進んでいく高刺激な「胆汁」が胃に逆流しやすく、「胆汁」によって症状が重くなると考えられています。
胃の知覚過敏
胃の知覚過敏によって痛みなどが起こりやすくなっている状態です。少しの食事でも過食した際のような痛みや苦しみが生じるようになります。
生活習慣
不規則な生活、嗜好品（タバコ、お酒、コーヒー）、高脂質な食事などによって症状が重くなるとされています。
ストレス
自律神経によって消化管の働きは制御されているため、自律神経がストレスなどによって失調すると、胃痛などが生じる場合があります。
胃酸
胃酸の出方、量、濃度など胃酸分泌に問題があると、胃もたれや胃痛などの症状が起こりやすいとされています。胃酸分泌抑制剤が有効です。
ヘリコバクター・ピロリ感染症
ピロリ菌感染によって慢性胃炎が長引き、胃がんに繋がる恐れもあります。ピロリ菌感染と機能性ディスペプシアの関係は明確には分かっていませんが、ピロリ菌の除菌に成功すると胃もたれなどの機能性ディスペプシアの症状も落ち着くことがほとんどです。
機能性ディスペプシアの検査・診断
基本的に、胃炎・胃潰瘍・胃がんなどの器質的疾患の除外診断を行った後、最終的に診断されます。似たような症状が別の疾患でも生じるため、胃カメラ検査などによって専門的な治療を要する病気ではないかを確認することが重要です。
腹部エコー（超音波）検査
胃とは別の場所で異常が起こって症状が現れている場合もあります。したがって、胆のう、総胆管、肝臓、膵臓、小腸、大腸などの周辺臓器をエコーで検査します。胃腸炎（嘔吐下痢症）の症状として起こっていることが一番多く、その際は胃カメラなどで症状が重くなる恐れもあります。
CT検査
腹部エコーと異なり腸管内のガスや脂肪の影響を受けない為、身体の中の状況を比較的均一に描出する事ができます。より詳しく検査を要する場合に実施されます。当院にはCTは設置しておりませんが、同検査が必要な場合はお近くの医療機関でスムーズに受けられるように手配をいたします。
機能性ディスペプシアの治療
上記のように、症状や原因は多岐にわたるため、治療法についても患者様によって違いがあります。生活習慣を見直すだけで改善する方もいれば、市販の胃薬で完治する方もいらっしゃいますが、漢方薬や抗うつ剤を使用する必要がある方もいらっしゃいます。
生活習慣を見直すことで、症状の改善や再発予防に効果を発揮します。重い症状を薬物療法で適切にコントロールしつつ、無理のない範囲で生活習慣を見直していきましょう。
生活習慣の改善
摂取量を少なくするなど、制限するもの
- 甘いもの
- 辛いもの
- 消化しづらいもの
- 高脂肪食（脂っこい食事）
- 柑橘系の果物
- 紅茶、コーヒー、抹茶
- タバコ
- お酒
薬物療法
患者様の病状に応じて、胃酸分泌抑制薬、胃酸中和薬、消化管運動機能促進薬などで症状を改善します。また、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬が効果的なこともあります。
ピロリ菌除菌※保険適用外
ピロリ菌感染によって、胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃MALTリンパ腫、胃過形成性ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病(ITP）などの疾患を発症すると考えられています。
また、機能性ディスペプシアの患者様がピロリ菌の除菌治療を受けることで症状が改善されることがありますが、ピロリ菌と機能性ディスペプシアの関連性は明らかになっていません。そのため、治療は保険適用とはなりませんが、自費で治療を受けることは可能です。
機能性ディスペプシアの治療は当院へご相談ください
当院では、機能性ディスペプシアの専門的な治療が可能です。診察から胃カメラ検査による確定診断、その後の治療や経過観察に至るまで懇切丁寧な対応を心がけておりますので、お困りの方は一度ご相談ください。放っておいても改善が難しい病気ですので、専門の医療機関に相談することをお勧めします。