アニサキス症とアニサキスアレルギーは別物!
今回はアニサキス症とアニサキスアレルギーについて解説します。
生魚を食べる文化がある日本では、アニサキスによる体調不良は決して珍しくありません。
しかし、「アニサキスでお腹が痛くなる」ケースと「アレルギーで全身症状が出る」ケースは、まったく仕組みが違うのをご存じでしょうか?
アニサキス症とは?
アニサキス症は、アニサキスという寄生虫の幼虫が 生魚に含まれている状態で体内に入り、胃や腸の壁に刺さることで起こる感染症 です。
● 主な原因食品
- サバ
- アジ
- イカ
- サンマ
- サケ
- ブリ
- など、多くの魚介類で見られます。
● 症状
食後数時間〜十数時間後に
- 強烈なみぞおちの痛み
- 吐き気
- 嘔吐
- が突然起こります。痛みは「差し込むよう」「じっとしていられないほど」と表現されることが多いです。
● 診断
胃カメラでアニサキス幼虫を直接確認し、除去することが最も確実 です。
● 治療
内視鏡で幼虫を取り除くと、劇的に痛みが改善します。
薬だけで治すことは難しいため、早めの医療機関受診が大切です。
● 予防
- −20℃で24時間以上の冷凍
- 60℃で1分以上の加熱
この2つで幼虫は死ぬため、感染自体は防げます。
アニサキスアレルギーとは?
アニサキスアレルギーは、アニサキスの持つタンパク質(アレルゲン)に対して IgE抗体が反応する急性のアレルギー症状 です。
アニサキスそのものではなく、アレルゲンに体が過剰反応してしまう ことで起きます。
● 主な症状
食後すぐ(数分〜1時間以内)に
- じんましん
- かゆみ
- 腹痛
- 嘔吐・下痢
- アナフィラキシー(重症)
特に、全身のじんましんや息苦しさが出た場合、アニサキス症に加えてアニサキスアレルギーを疑います。
● 診断
血液検査で
- アニサキス特異IgE抗体
- を測定します。
● 治療
- 生魚の回避が基本
- 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)
- 重症の方は エピペンの携帯 を勧めることもあります。
● 注意点(重要)
アニサキス症は冷凍・加熱で防げますが、
アニサキスアレルギーはアレルゲンが残るため、冷凍や加熱でも症状が出ることがあります。
このように
アニサキス症とアニサキスアレルギーは、どちらも生魚がきっかけになりますが、
異なる疾患です。アニサキス症は感染で、アニサキスアレルギーは免疫反応ということになります。
生魚をよく食べる方は、この2つの違いを知っておくことで、
症状が出たときにより正確に判断し、早めに医療機関にかかることができます。


