中高年の急な腹痛と血便–虚血性腸炎かも!?
こんにちは。今回は虚血性腸炎について説明します。
ある日突然、お腹の激しい痛みや血の混じった便が出て驚いた――。そんなときに疑われる病気のひとつが虚血性腸炎(きょけつせいちょうえん)です。
中高年の方に多く見られる病気で、再発することもあるため注意が必要です。
◆ 虚血性腸炎とは?
腸に血液を送る血管が一時的に狭くなったり詰まったりして、大腸の粘膜に血流障害が起こり炎症や出血が生じる病気です。
大腸の中でも、特に血流が乏しくなりやすい「左側の大腸」に起こることが多いのが特徴です。
◆ 主な症状
虚血性腸炎の症状は比較的急に出現します。
・突然の強い腹痛
・鮮やかな血便、下痢
・吐き気や嘔吐を伴うこともある
多くは数日で症状が軽快しますが、なかには重症化する例もあります。
◆ 原因とリスク因子
虚血性腸炎はさまざまな要因が関わります。
・動脈硬化(加齢・高血圧・糖尿病・脂質異常症など)
・便秘による腸管内圧の上昇
・脱水や低血圧
・動脈の圧迫
・心疾患や不整脈(血栓による塞栓)
特に中高年女性に多く、生活習慣病を持つ方はリスクが高いといわれています。
◆ 診断方法
・問診と症状の確認(腹痛・血便の経過)
・大腸内視鏡検査:粘膜の出血・びらんの状態を観察・生検し確定診断
・血液検査:炎症や貧血の有無をチェック
◆ 治療法
多くの場合、虚血性腸炎は手術しない保存的治療で改善します。
・絶食・点滴で腸を安静に保つ
・抗菌薬の投与
・痛みや下痢に対する対症療法
通常は数日〜1週間程度で症状が軽快することが多いです。
ただし、腸の壊死(腸管壊死)が疑われる場合には外科的手術が必要となることもあります。
◆ 再発予防・生活習慣の工夫
再発を防ぐためには、以下のような生活改善が大切です。
・便秘を予防する(食物繊維・水分摂取・適度な運動)
・動脈硬化のリスク因子(高血圧・糖尿病・脂質異常症)をコントロール
・規則正しい生活で腸の働きを整える
◆ まとめ
・虚血性腸炎は、大腸の血流が一時的に悪くなって起こる病気
・突然の腹痛と血便が典型的な症状
・多くは保存的治療で改善するが、重症化する場合もある
・再発防止には便秘予防と生活習慣の改善が重要
もし急に腹痛と血便が出た場合は「様子を見る」ではなく、是非ご相談してください。